
WindowsよりMacのほうが劣勢なものの1つにVR環境があります。
VR(Virtual Reality)とは仮想現実のことで、まるで現実と錯覚するような映像を作り出す環境です。
macOSのVR対応
macOSはHTCのVRヘッドセットに対応しています。
VRヘッドセットとして有名なOculusのRiftには対応していません。
では、HTC VIVEを購入すればどんなMacでもVRが楽しめるのかいうとそんなことはなく、VR対応とされているMacは以下のみです。
型番 | GPU | |
---|---|---|
iMac 5K 2019 (全モデル) | CTO | Radeon Pro Vega 48 |
MRR12J/A | Radeon Pro 580X | |
MRR02J/A | Radeon Pro 575X | |
MRQY2J/A | Radeon Pro 570X | |
iMac 5K 2017 | MNED2J/A | Radeon Pro 580 |
iMac Pro | 全モデル | Radeon Pro Vega 56/64 |
Thunderbolt 3搭載のMac (M1チップ搭載のMacを除く) | – | eGPU |
iMac 5K 2020とMacBook Pro 16は以下のGPUを搭載しており、上記のGPUがVR対応ならこちらも対応となりそうですが、VR対応可否の正式なアナウンスはないようです。
型番 | GPU | |
---|---|---|
iMac 5K 2020 | CTO | Radeon Pro 5700 XT |
Radeon Pro 5700 | ||
MXWV2J/A | Radeon Pro 5500 XT | |
MXWU2J/A MXWT2J/A | Radeon Pro 5300 | |
MacBook Pro 16 | CTO | Radeon Pro 5600M |
MVVK2J/A MVVM2J/A | Radeon Pro 5500M | |
MVVL2J/A MVVJ2J/A | Radeon Pro 5300M |
どれもかなり高価で金銭的に敷居が高すぎます。。。
ちなみに2020年に発売されたM1チップ搭載のMacはThunderbolt 3を搭載していますがeGPUには未対応です。
Mac上のWindowsのVR
MacはBoot CampやParallelsを使ってWindowsを動かすことができます。
Windowsを使えばMacでVRを楽しむことができるでしょうか。
手持ちのMacでは最もGPUにRadeon Pro 570を搭載しているiMac 5K 2017(MNE92J/A)で試してみました。
発売日 | 2017年6月 |
---|---|
ディスプレイ | 27インチ 5,120×2,880 |
CPU | 第7世代 Core i5 3.4GHz |
GPU | AMD Radeon Pro 570 |
メモリ | 16GB(標準8GBから8GB増設) |
Boot Camp用AMD Radeon Pro 570の最新ドライバは以下からダウンロードしてインストールしました。 Apple Boot Camp Software Graphics Drivers
Windows MR
Windows MR(Mixed Reality)とはWindows 10標準のVR環境です。
このWindows MRの要件は2種類あり、GPUが弱いMacであっても「Ultra」がつかないWindows MR PCの要件は満たせそうです。
Boot Camp
Windows MRが使えるか否かはMixed Reality Portalを実行すると確認することができます。
Boot Campの(Windows 10 バージョン1909 November 2019 Update)でMixed Reality Portalを実行した結果は以下です。

これならWindows Mixed Reality対応のヘッドセットを接続すれば使えるはずです。
Parallels Desktop
ダメもとでParallels Desktop 15環境でも試して見ました。
WindowsはBoot Campと同じWindows 10 バージョン1909 November 2019 Updateです。
まず、Windows MRでは8GB以上のRAMが必須のため、8GBのMacではその時点で無理です。
ParallelsではBoot Campと違ってmacOS用のRAMも必要なため、Windows用に8GBを割り当てるのは不可能だからです。
上記のiMac 5Kは8GB増設され合計16GBになっていたため、ParallelsのWindowsに8GBを割り当てることができました。
で、ParallelsでMixed Reality Portalを実行した結果がこちら。

グラフィックドライバーのところに☓がついています。
これはUltraでないWindows MRであってもWDDM(Windows Display Driver Model) 2.2以上のドライバが必須だからです。
まあ、あくまでダメもとで試したでけですから・・・。
SteamVR
SteamVRとはパソコン向けのVRゲームプラットフォームです。
SteamVRはMacもサポートしていたのですが、2020年5月にMacはサポート終了となってしまい、現在はWindowsとLinuxのみがサポートされています。
このSteamには「SteamVR Performance Test」というアプリがあり、システムがVRの要件を満たしているか確認することができます。
このSteamVR Performance TestをBoot CampとParallels Desktopで実行してみます(ちなみにSteamVRのMacサポート終了前からSteamVR Performance TestはMac未対応でした)。
Boot CampでのSteamVR Performance Testの結果は以下です。

Windowsのバージョン等は前述のWindows MRと同様です。
残念ながら「レディ」ではありません。
ただ、推奨スペックを満たしていないものの「VR可能」という結果でした。
VR空間でMacのデスクトップを操作する
Oculus Questに無線LAN経由でMacのデスクトップを表示できるImmered VRというサービスがあります。
Oculus Questとは一体型のVRセッドセットです。
通常のVRヘッドセットはHDMIケーブル(映像・音声ケーブル)でMacやPCと接続して使います。
つまり、MacやPCのGPUで生成されたVR映像をVRヘッドセットで表示します。
それに対し、Oculus QuestはMacやPCを必要とせず単独で動作します。
当然、HDMIケーブルも不要です。
Immersed VRは本来、職場に通勤せずテレワークをするためのVRワークスペースを提供するサービスなのですが、ワークスペース内でのMac(PCとLinuxも)の操作はその1機能です。 Immersed VR
Immersed VRでは広大なVR空間上に最大5つまでのMacの仮想ディスプレイをOculusのコントローラーを使って配置します(下の動画)。
グラフィックが弱いMacでこれが実現できる理由はMacはデスクトップ表示を転送するだけで、VR処理はOculus Questが行うためだと思われます。
Macの操作はOculusのコントローラーでもできますが細かい操作がしづらいため、Macのタッチパッドやマウスで操作することになるかと思います。
文字入力はVR空間上に表示されるソフトウエアキーボードのキーをマウスでクリックするか、Macの物理キーボードを使います。
ただ、ソフトウエアキーボードは遅いし、物理キーボードは手探りで使わないといけないしで文字入力は結構大変です。。。
コメント
HTC Vineって何?
誤字でした。。。
Vine => VIVEに修正しました。
この先のゲームレポートが読みたかった