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Appleシリコン(M3/M2/M1)Macはユーザーによるメモリ増設ができません。
さらにMacの吊るし(標準)モデルは最低限のメモリ容量しか選択肢がありません。
多くのメモリが必要ならアップルストアのCTO(Custom To Order)で定価購入するしかありません。
CTO | 吊るし | |
---|---|---|
販売場所 | アップルストア | アップルストア アップルストア以外 |
価格 | 定価 | 店によっては値引き 店によってはポイント |
メモリ容量 | 選択可能 | 選択肢が限られる |
SSD容量 | 選択可能 |
ちなみにIntel Mac miniか27インチ iMacであればユーザーがメモリ増設できました。
なぜ、多くの人が安くないお金を払ってまでメモリが多いMacを購入したがるのでしょうか。
メモリが足りないから?
いいえ、Mac(WindowsやLinuxも同じですが)には「仮想記憶」という仕組みがあります。
仮想記憶とは全てのアプリに仮想的なメモリを割り当てる仕組みです。
たとえ物理メモリが8GBであっても各アプリはそれを遥かに超える量のメモリを使うことができます。
なぜ物理メモリ以上のメモリが使えるかというと使用頻度の低い仮想メモリ領域をストレージ(現在ならSSD)に退避させ、再び必要になったら
ストレージから読み出す(スワッピング)からです。
つまり、物理メモリとストレージを組み合わせて広大な仮想記憶が使えます。
この仮想記憶を使い切るのはよほどおかしなことをしない限り無理です。
ではなぜ、仮想記憶があるんだからメモリ8GBでもいいんだ、とならないのでしょうか。
理由は物理メモリ以上の仮想記憶が使われた場合にスワッピングが起こると極端に遅くなるからです。
スワッピングが遅い理由はストレージの読み書きが発生するからです。
結局、メモリ8GBで足りない理由は物理メモリに比べてストレージが遅いために仮想記憶の動作が極端に遅くなるためです。
ちなみにそれはWindows PCも一緒ですが、WindowsではGUIで仮想記憶をOFFにできます。
そのため、仮想記憶OFFでメモリ不足にならない範囲で運用することで高速化する方法があります。
Intel Macでは32GBや64GBのCTOを使っている人も少なくなく、Appleシリコン(M3/M2/M1)Macの登場前には8GBでは話にならない、という声もありました。
しかし、実際には8GBのM1 Macで8GBを超える仮想記憶を使ってもサクサクと動いています。
AppleシリコンMacではParallels DesktopでWindows 11を使えます。
Parallels DesktopではmacOSとWindowsが同時に動くため、Windowsに割り当てられるリソースはMacのリソースの半分程度までです。
メモリ8GBのMacであればWindowsに割り当てられるメモリは4GB程度です。
現在でもメモリ4GBのWindows PCは売られていますが、上級者は買いません。遅くて使い物にならないことを知っているからです。
8GBのIntel MacでParallels Desktopを使う場合もWindowsに割り当てられるのは4GBで、サイズの小さい32bit版Windowsを使うなど涙ぐましい工夫をしないと快適には使えません。
しかし、8GBのAppleシリコンMacでもParallels Desktopで4GBを割り当てたWindowsが仮想記憶をOFFにしなくてもサクサク動くのです。
AppleシリコンMacはIntel Macに比べてストレージ速度が非常に速くなっています。
SSDの性能向上もあるでしょうが、SSD、CPU、物理メモリを繋ぐ「バス」の高速化も大きいかもしれません。
それによって仮想記憶が本来の姿に戻ったのではないでしょうか。
今と比べてメモリが非常に高価で遅かった時代には、(スワッピングを回避するために)大量のメモリが必須、という発想はなかったように思います。
CPUやメモリはどんどん高速化されてきました。
それに対し、ストレージやバスの高速化は置き去りにされてきました(ハードディスクからSSDという変化はありましたが)。
CPU・メモリとストレージの速度差が開くことでいつのまにか、(スワッピングを回避するために)大量のメモリが必須、という認識が当たり前になっていました。
でもそれは本来の姿ではなかったはずです。